≪寝覚物語絵巻≫は、平安時代の王朝物語「夜半の寝覚」を絵巻化した作品で、平安時代末期(12世紀後半)
に制作されたと推定されています。
「夜半の寝覚」は、寝覚の上と中納言の悲恋を、繊細な心理描写に綴った小説で、『更級日記』の作者
として知られる菅原孝標女を作者とする説が有力です。ただ、伝存する物語は、中間と末尾に大きな欠失
があり、完本がありません。
大和文華館が所蔵する絵巻は、詞書4段、絵4段が残されていますが、物語の欠失部にあたり、錯簡もある
ため、絵巻としては理解しにくいところがあります。桜や藤などの自然描写や、金銀の砂子による豪華な
装飾を、カラーコロタイプの緻密な複製により、ご鑑賞ください。
※毎月場面を替えて紹介します
期間:2024年11月5日(月)~2025年3月28日(金)
場所:附属図書館閲覧室展示ケース